GPD Win2は普通のノートPCとは違い、BIOSの設定項目が非常に多い。
今回はBIOSの設定を弄り、GPD Win2のCPU電圧を下げて、節電(稼働時間延長)に挑戦してみた。
電源ON時にDeleteキー長押ししてBIOSを起動。
その後、Advanced → Overlocking Performance Menuを選択。
OverClocking FeatureをEnableに変更すると、Processor、Memory、GT、Ucore、Voltage PLL Trim ControlsのVoltage(電圧)設定が出てくる。
まず最初にProcessor(CPU)の電圧を変更する。Processorのメニューを開き、の0のところを75に変更(単位はmV)。その下のOffset Prefixを+から-に変更する。これで-75mV電圧を下げるという設定になる。
BIOSの画面は縦長で見づらいため、横長に画像編集しています。
Memoryの設定はいったん飛ばして、次にGT(CPU内蔵グラフィック)の設定をする。ここもProcessorの時と同様にGT Slice DomainとGT Unslice Domainの2箇所を-75mVに。
次にUncore(CPUのCacheなど)のVoltageも-75mVに設定。
飛ばしたMemoryの設定は、Memory profileをDefault profileからcustom profileに変更した後、Memory Voltageを1.15Volsに変更すればメモリの電圧も変えられますが、少なくとも自分のGPD Win2では1.15Vでは何度も再起動を繰り返して起動しませんでした。メモリの設定を変えると動作が不安定になりやすいのでメモリはそのままにします。
Processor(CPU)、GT(CPU内蔵グラフィック)、Uncore(CPUのCacheなど)の4箇所を-75mVに設定した後、性能や電池持ちに変化があるか実験してみた。
実験条件はWindows 10 1809 October 2018 Update 64bit、ドライバはすべて最新、GPD Win2のスリープ無効、画面は最低照度で消灯時間は1分、それ以外の設定は初期状態のまま、電圧を下げる前と下げた後で比較。
純正充電器でほぼ100%まで充電した後、CINEBENCHのOpenGL、CPU、CPU SingleCoreのベンチを開始時にカウントスタート。ベンチを15分起きに4回実行して、カウントスタートから1時間経ったところで実験終了。
バッテリーの読み方は、Windowsのコマンド「powercfg /batteryreport
」の値を使用。
4回のベンチのスコアと、1時間経過後のバッテリーの減りを調べることにした。
Windows 10はGPD Win2のバッテリー容量を38240mWhと認識しているが、実際には9800mAhである。
標準電圧での結果
実験開始前 38130mWh → 実験終了時 32550mWh
1時間1分33秒で5580mWh消費
OpenGL | CPU | Single | |
---|---|---|---|
1回目(開始0分) | 37.84 | 236 | 96 |
2回目(開始15分後) | 38.05 | 238 | 96 |
3回目(開始30分後) | 36.93 | 238 | 96 |
4回目(開始45分後) | 36.46 | 238 | 96 |
75mV電圧を下げた状態での結果
実験開始前 38000mWh → 実験終了時 32310mWh
1時間2分15秒で5690mWh消費
OpenGL | CPU | Single | |
---|---|---|---|
1回目(開始0分) | 39.66 | 248 | 96 |
2回目(開始15分後) | 40.66 | 250 | 96 |
3回目(開始30分後) | 40.29 | 249 | 97 |
4回目(開始45分後) | 40.05 | 249 | 97 |
標準電圧と75mV下げた状態ではバッテリー消費量は110mWh電圧を下げたときの方が多いという結果になった。しかしこの程度ではほぼ誤差と言っても問題ないレベルの差な気がする。
気になる点としては、OpenGL、CPU、CPU Singleの結果3種とも、電圧を下げた状態の方がいいのである。すべての結果で標準電圧よりいいので、僅かながら性能向上の効果があるのではという感じがある。
電圧が下がったことで発熱量が減り、Turbo Boostで高いクロックが出る時間が長くなったためと推測する。
BIOSの設定値では-75mVとしているが、CPU-Zで読んだアイドル時のCoreVIDの値は標準電圧では0.620V前後、-75mV時は0.585V前後で、実際には35mV程度しか下がっていないようだ。
以上の結果、GPD Win2の電圧を下げるとバッテリーの減りはほぼ変わらず、性能は微増という結果になった。またCPU-Zの値から設定した-75mVではないものの、実際に電圧が下がっていることが確認できた。
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