本記事では、LANケーブルのカテゴリーのことを全て「Cat 〇」という英語省略名で表記します。
日本語名 | 英語省略名 | 最大速度 |
---|---|---|
カテゴリー5 | Cat 5 | 100Mbps (100BASE-TX) |
エンハンスドカテゴリー5 | Cat 5e | 1Gbps (1000BASE-T) 2.5Gbps (2.5GBASE-T) |
カテゴリー6 | Cat 6 | 1Gbps (1000BASE-TX) 5Gbps (5GBASE-T) 10Gbps (10GBASE-T) ※55mまで |
エンハンスドカテゴリー6 | Cat 6e | 10Gbps (10GBASE-T) |
オーグメンテッドカテゴリー6 | Cat 6A | 10Gbps (10GBASE-T) |
カテゴリー7 | Cat 7 | 10Gbps (10GBASE-T) |
カテゴリー7A | Cat 7A | 10Gbps (10GBASE-T) |
カテゴリー8 | Cat 8 | 40Gbps (40GBASE-T) |
突然ですがLANケーブル選んで買っていますか?
いきなりですがとても大事なことを言います。
Cat 7やCat 8を買う意味はない
Cat 7ケーブルを買わないでください。買ってもいいですが、特別意味はないです。
Cat 7だけでなく、Cat 7AやCat 8も同じです。
Cat 7やCat 8を買う意味が無い理由
Cat 7のケーブルはコネクタにTERA、GG45、ARJ45というものを使うと規格で決まっていますが、一般市場においてそれらを使用したCat 7ケーブルは存在しません。ほぼ全てRJ-45です。Cat 7AやCat 8などありますが同じです。家電量販店などで売っているCat 7以上のケーブルは全て規格不適合です。
Q3:RJ45プラグ付の「Cat.7」と表記されたパッチコードが販売されておりますが、これについて教えてください。これは、Cat.7の性能はあるのでしょうか。
https://home.jeita.or.jp/upload_file/20180618105908_H95U0A2VLc.pdf
A3:RJ45プラグではCat.7性能を満足することはできません。
よって、これは不適切な表現であり「誤表記」と考えられます。
Cat.7性能を満足するプラグは、一般的にTERA、GG45、ARJ45コネクタであり、よって、「Cat.7」と表記された RJ45プラグ付コードは、Cat.7の性能を満足しておりません。
もちろんCat 7のケーブルが使えないというわけではありませんが、わざわざ規格不適合の意味のない高いケーブルを買う意味はありません。
何を買えばいい?
おすすめはCat 5eかCat 6A
オススメはCat 5eかCat 6Aです。その理由を説明します。
Cat 5e コスパ重視ならこれで十分
Cat 5eの説明をする前に少しだけCat 5の説明をする必要があります。Cat 5はかなり古い規格で、最大速度は100Mbpsです。プリンターやテレビといった組み込み機器系はその速度でも足りますが、かなり昔の規格なので、現在家庭に残っていたとしても自然と経年劣化している可能性もあります。捨てましょう。新しいCat 5eかCat 6Aのケーブルを買いましょう。
Cat 5eですが、最大速度は1Gbps。一般家庭のPCや、LAN機器はすべてこれで足ります。おまけにCat 5eのケーブルは安い。1Gbpsでたりて、使えれば何でもいいという人はCat 5eを買いましょう。
Cat 6A 一番のオススメ。性能とか色々気にする人に
Cat 6Aは10Gbps対応のケーブルです。先に説明したCat 7以上のケーブルのように規格不適合ではありません。性能が気になったり(ほとんどの場合プラセボだろうが)、10Gbpsを使う予定の人はCat 6Aを買っておけば間違いない。
Cat 6AにはUTPとSTPという2種類のケーブルがあります。売っているほどんどのケーブルはUTPなので問題はありませんが、シールド付きのSTPケーブルは一般用途では意味がありません。両端の機器がSTPに対応していないとSTPの意味が無く、工場などの特殊な場所でなければノイズの影響もありません。無駄に高いSTPを買う必要はないのでCat 6AのUTPケーブルを買いましょう。そもそも、STPのシールドはケーブル外からのノイズには効果が無い。
Cat 6とかは?
ここまでCat 5、Cat 5e、Cat 6A、Cat 7、Cat 7A、Cat 8の説明をしたので、Cat 6とCat 6eの説明も少し。
Cat 6 Cat 5eと価格差が無いならあり
Cat 6はCat 5eと同じく最大1Gbpsです。Cat 6でも10Gbps行けるのでは?そう思った方はLANケーブルのことをよく知っていますが、よく知っている人はこんなCat 6ではなくCat 6Aを買うと思うので説明は省略。
Cat 6は通常使用ではCat 5eと性能はほぼ変わりません。Cat 5eでは不安!というような神経質な人はCat 6Aを買うでしょうし、Cat 5eとCat 6Aに挟まれた中途半端な立ち位置です。値段がCat 5eと変わらなければCat 6を買うのはありだと思います。
ケーブルメーカーはCat 5eと違って1000BASE-TX対応!といった謳い文句がありますが、1000BASE-TXは全く普及していない規格で、今後も普及する見込みは無いので何の意味もありません。
Cat 6e 実は存在しない規格
存在しない規格ってなんやねん!と突っ込みたくなるが、Cat 6をベースにケーブルメーカーが独自拡張したのがCat 6e。現在は正式な規格としてCat 6Aが作られたため現在はほとんど流通していない。Cat 6Aを買おう。
どのCat 6A UTPケーブルを買えばいい?
ここからがこの記事の本題です。一言にCat 6A UTPケーブルと言っても各メーカーからいろんな種類のものが出ています。そのため、自腹で各メーカーのCat 6Aケーブルを買って比較してみました。
今回の検証対象のCat 6A UTPケーブル
メーカー | 型番 | 距離 | Amazon価格 | 芯線 | 芯線径 | ケーブル径 |
---|---|---|---|---|---|---|
BUFFALO | BSLS6ANU10BL | 1m | 348円 | より線 | 不明 | 6.0mm |
エレコム | LD-GPA/BU2 | 2m | 397円 | より線 | 24AWG | 6.5mm |
エレコム | LD-GPAT/BU10 | 1m | 336円 | より線 | 24AWG | 6.5mm |
エレコム | LD-GPAYC/BU1 | 1m | 535円 | より線 | 26AWG | 5.2mm |
エレコム | LD-GPAYT/BU05 | 0.5m | 329円 | より線 | 28AWG | 4.2mm |
サンワサプライ | KB-T6ATS-01BL | 1m | 736円 | 単線 | 23AWG | 7.1mm |
PANDUIT | UTP28X30MVL | 30m | 2395円 | 単線 | 28AWG | 4.7mm |
1mのケーブル(Buffalo 1本、エレコム 2本、サンワサプライ 1本)は、全て今回の検証のために購入したものである。それ以外のものはすでにスイッチングハブの接続などで使用しているものである。1つだけPANDUITのCat 6A 30mケーブルという家庭向けではない変な物が混ざっているが、現在構想中の自宅LANケーブル張替えに使用する予定のものなのであまり気にしないでほしい。
検証 10GBase-T同士で直結する
手元にあったLANケーブル全てを10G Base-TトランシーバーをつけたNICでに直結したところ、すべてのケーブルで10Gbpsでネゴシェーションできて、iperfで10Gbps近い速度が出ることを確認できた。
ついでに適当なCat5eで検証する
Cat 5eは、10Gbpsに対応していないということになっているが、2m程度の短い適当なCat 5eケーブルを繋げたところ、10Gbpsで動いてしまった。
もしかすると、2mのように短く複数のケーブルを束ねるようなことはない家庭環境では問題がないのかもしれない。
LANケーブル剥いてみた
Buffalo BSLS6ANU10BL、エレコム LD-GPAT/BU10、エレコム LD-GPAYC/BU1、サンワサプライ KB-T6ATS-01BL、PANDUIT UTP28X30MVLを実際に剥いて、ケーブルの中を確認してみた。
バッファロー BSLS6ANU10BL
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
メーカーページに書かれている通り、確かにアルミのようなシールドが巻いてあり、その中にドレインワイヤーとツイストペアにまたシールドが施してあった。十字介在は無い。というかこの構造は実質STPケーブルなのでは?
エレコム LD-GPAT/BU10
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
特に変わったことのない普通のより線のLANケーブルである。十字介在が入っている。
エレコム LD-GPAYC/BU1
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
上記のLD-GPAT/BU10と比較すると、導体が細くなっている分柔らかくなっている。何故かエレコムのLANケーブル検索ページの検索結果には出てこない。十字介在はある。
サンワサプライ KB-T6ATS-01BL
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
一言でいうと非常に固い。取り回しが悪い。これは他のケーブルがより線を使っているのに対して、単線を使用しているからだろう。おまけに心線径も他のケーブルより太い。
PANDUIT UTP28X30MVL
本製品は写真を撮る前に加工してしまったため、写真はない。
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
- メーカーホームページ: BSLS6ANU10BL
まず本品は家庭用の製品ではない。他の製品と比べると明らか高いため、作りは明らかに良い。Cat 6Aでまともな作りをしていそうでかつ、細いものということで本製品を選択したが、4.7mmという細さで十字介在は入っている。AXテープと呼ばれるケーブル全体を囲むシールドがある。単線のためケーブルは固いが、サンワサプライ KB-T6ATS-01BLと比べると圧倒的に取り回しは良い。
コネクタ形状
左からバッファロー BSLS6ANU10BL、エレコム LD-GPAT/BU10、エレコム LD-GPAYC/BU1、サンワサプライ KB-T6ATS-01BLである。
バッファローとエレコムは使い勝手もあまり変わらず、コネクタに関しては好みだと思う。個人的にはエレコムの物が好き。
そこそもこの手の爪が折れないケーブルは一部で評判が悪い。コネクタでもPANDUIT最強なのでは…
エレコムのコネクタだが、LD-GPAT系の白い樹脂+爪プロテクタのやつより、従来のコネクタにプロテクタがついているだけのLD-GPAYCの方が、よさそうである。
サンワサプライのこのコネクタは非常に固い。一度刺すと非常に抜けにくい。機器相性とか関係なく抜けない。壁内配線用のベースとかにするならともかく、普通に使うのは抜き差し苦労するのでやめたほうがいい。
Cat 6A LANケーブルまとめ
品質を求めるなら、作りがいいのはPANDUITである。しかし、入手性に難がある上に高い。
そのため、個人的にはLD-GPAYC/BU1をお勧めしたい。LD-GPAT/BU10と比較してやわらかいため取り回しがよく、エレコムのコネクタは癖がないからだ。
逆に、サンワサプライのKB-T6ATS-01BLは、値段は高く、単線のため取り回しは悪く、コネクタが固く抜けにくいためあまりお勧めできない。
コメント